Remix盤『kioku-no-oto』
※非売品(特定のタワーレード等で購入したいただいた方へ特典で配布されました)

ポップミュージックのマエストロ「神森徹也」と都内をはじめとしてクラブシーンで活躍中の「DJ 蟻(osakan underground)」による『kioku-note』のリミックスCD

01.Drive(神森徹也 Remix)
02.Siren(DJ 蟻 Remix)
キオクノオト1stアルバム『kioku-note』
CXCA-1182、2100円(税込)

繊細かつスクエアなサウンド構築の上に乗っかるのは、あくまでもポップでなじみのあるメロディー。
時に優れた建築や車のデザインに見られるようなそれに似ている。クールな中で、力強く心を捕らえる言葉とメロディーは、普遍的かつ新しい音楽の誕生を予感させるのに十分。
ジャンルや世代を超え、あらゆる意味でボーダーレスな、音楽のための音楽─。

01.Drive
02.Siren
03.Wake up & Music!
04.Circus
05.つまりこんな日は
06.Delay
07.騒めきながら、僕たちは

カーブを曲がった先にあったもの。

 二年ほど前に佐野さんから、小学館の編集部経由でカーブの『疾風ノ行方』をいただいたとき、長いあいだ音信不通になっていた友だちから便りが届いたような、懐かしい気持ちになった。そこに収められた音は紛れもなく佐野さんの作品なのだけれど、どの曲もはじめて聴くような気がしなかった。いつかどこかで聴いたというよりは、ぼくのなかの忘れていた記憶や、普段は取り出すことのない感覚と共鳴しているみたいだった。なんだかとてもプライベートな音だな、というのが第一印象だった。
 ぼく自身の音楽体験としては、高校に入ったばかりのころ(1974年です)、はじめてはっぴいえんどを聴いたときの感じに近い。それからずっと好きだったムーンライダースとか、鈴木慶一さんが一時期やっていた水族館レーベルとか、エリオット・スミスなんかのねじれたポップセンスにも通じるものがあるぞノノなどと一人で悦に入りながら、毎日のように『疾風ノ行方』を聴いていた。CDをいただいたのが、冬の終わりの春のはじめで、そんな季節にもふさわしい音だった。いまでもカーブの音楽というと、ぼくは冬の冷たく晴れた空を吹き渡っていく風を連想する。

 今回、佐野さんがあたらしく結成されたキオクノオトのファーストアルバム『kioku-note』が届いた。ねじれたポップセンスは健在だ。お得意のヘンなコード進行が、「いま」を生きるぼくたちの不安な内面に共振する。佐野さんのギターも、あいかわらず気持ちのいい音でなっている。でも、ちょっと変化したところもある。ギターのリフを中心に組み立てられた曲が多いためか、ビートが強調されているせいか、全体に力強さを増した感じがする。歌詞も、もちろん能天気に明るくはないんだけれど、かつての内向的なものにくらべて、開かれた言葉が増えている。きっと生活が充実しているんだろうな。ぼくも見習わなくっちゃ。それと最後になりましたが、佐野さんのうた、格段に上手くなっています。やはり精進の賜物なのだろうな。ぼくも見習わなくっちゃ。

片山 恭一(作家)